学習院各キャンパスの放射線量測定結果(2012年1月)
院内各学校からの要請により、本院大学理学部化学科・村松康行教授が、学習院の3キャンパスの放射線量を1月に測定した結果は下記のとおりです。今後も状況により随時ご報告する予定です。なお、昨年、5月、9月、12月(落ち葉)の測定結果は本HPのバックナンバーをご覧下さい。
※ 単位は µSv/h、1時間当たりのマイクロシーベルトです。
測定の高さは原則地上1m(幼稚園・初等科は50cmの高さも測定)
線量測定には日立アロカメディカル社製TCS-172B (校正済み)を使用。
【目白キャンパス】
◆正門 (2012.1.19測定) 0.09~0.10 µSv/h
◆幼稚園 (2012.1.19測定)
園庭: 0.08~0.09 µSv/h, (50cm: 0.09 µSv/h)
幼稚園畑: 0.08~0.09 µSv/h (50cm: 0.09 µSv/h)
砂場: 0.08~0.09 µSv/h (50cm: 0.09 µSv/h)
校舎前の芝生: 0.09 µSv/h (50cm: 0.09 µSv/h)
滑り台の周り:0.07~0.08 µSv/h (50cm: 0.07~0.09 µSv/h)
池の表面: 0.08 µSv/h (50cm: 0.08 µSv/h)
(屋内は昨年9月に測定した結果とほぼ同じと考えられます。)
◆高・中等科 (2012.1.19測定)
グラウンド(人工芝): 0.10~0.11 µSv/h
グラウンド(土): 0.07~0.09 µSv/h
北側石畳: 0.10~0.12 µSv/h
(屋内は昨年9月に測定した結果とほぼ同じと考えられます。)
◆大学 (2012.1.19測定)
北グラウンド(人工芝):0.10~0.11 µSv/h
食堂前広場:0.08~0.11 µSv/h
中央教育研究棟南:0.09~0.10 µSv/h
血洗いの池周辺と森:0.07~0.08µSv/h
(屋内は昨年9月に測定した結果とほぼ同じと考えられます。)
【戸山キャンパス】
◆女子大学、女子中・高等科 (2012.1.7測定)
グラウンド:0.08~0.09 µSv/h
テニスコート:0.10~0.12 µSv/h
朝礼台広場: 0.10~0.11 µSv/h
バスケットボールコート: 0.10~0.12 µSv/h
バレーコート: 0.10~0.12 µSv/h
バレーコート周辺の林:0.09~0.11 µSv/h
女子大校舎周辺(石畳): 0.09~0.12µSv/h
(屋内は昨年9月に測定した結果とほぼ同じと考えられます。)
【四谷キャンパス】
◆初等科 (2012.1.7測定)
校庭(グラウンド): 0.07~0.09 µSv/h (50cm: 0.08~0.09 µSv/h)
校庭(人工芝)): 0.10~0.12 µSv/h (50cm: 0.10~0.12 µSv/h)
砂場: 0.08~0.11 µSv/h (50cm: 0.08~0.12 µSv/h)
森・花壇: 0.07~0.08 µSv/h (50cm: 0.08~0.09 µSv/h)
落ち葉集積場: 0.10 µSv/h (50cm: 0.10~0.11 µSv/h)
(屋内は昨年9月に測定した結果とほぼ同じと考えられます。)
<村松教授のお話>
測定結果を総合的に見ますと以下のことが言えます。
・得られた結果は東京都が出している都内の測定値の範囲内であります。
・事故が起こる前の値(推定値)と比べ、原発の事故の影響により都内も高めになっていますが、今回の測定値は健康に問題が生ずるレベルではありません。
・各キャンパスで測定した場所は、昨年9月に測定した地点とほぼ同じですが、多少新しい場所も加えてあります。この4ヶ月間の変化を見ますと、殆ど変わっていないことが分かります。これは、放射性セシウム137の半減期が30年と長く、また、土などに吸着すると動きにくいからであります。なお、測定値に幅があるのは、場所による変動と測定器の安定性によるものであり、この程度であれば通常です。
・上記の空間線量率とは別に、キャンパスの水道水に含まれる放射性セシウムを測定しましたが、検出限界以下(5Bq/kg)でありました。東京都の常時測定でも検出されていませんので、水道水の放射能は問題ありません。
その他気がついた事は以下の通りです。9月の測定時に初等科の砂場の一部に雨が流れ込むため、その場所の線量が高めでした。その箇所の砂は既に除去しておりましたが、今回再度確認したところ、特に高い値は見られませんでした。
昨年秋より、各キャンパスに放射線の簡易測定器が設置され、職員が別途測定しています。その測定で、戸山キャンパスの南東の林の一部で高目の値が見られました。今回、正式な測定器で測ったところ約0.5µSv/h(地上1mで測定)と周辺よりも高い線量率を示したところがありました。また、地上5cmでは1µSv/hを超える値でした。ここは、キャンパス内の側溝や排水穴に溜まっていた泥などを集めて捨てた場所です。面積的には1坪程度であり、通常は生徒が立ち入る場所ではありませんが、女子部と相談して、除去してもらいました。また、側溝や雨樋の下など放射性物質が溜まりやすいところを調べましたが、特に高い値は見られませんでした。
福島第1原発の事故により飛散した放射性物質が多少なりとも首都圏にまで来ており、事故以前よりも空間線量率は高くなっています。しかし、学習院のキャンパスが特に高いと言うことはありません。レベル的には健康に影響がない値です。
(なお、測定には、村松研究室の大野助教および学生が協力してくれました。)